
自社管理物件で孤独死が発生した場合、管理会社や不動産オーナーにとって大きな課題となるのが「特殊清掃」です。発見が遅れるほど清掃作業、特に死臭のニオイを取ることの難易度が上がり、費用も高額になりがちです。
この記事では特殊清掃の費用を左右する主な要因や、費用の負担を誰がするか、特殊清掃後の原状回復について詳しく解説します。適切な知識を持つことで、悪徳業者を回避する可能性が高まりますので、ぜひ記事を参考にしていただければと思います。
対象は不動産管理会社や不動産オーナー向けではありますが、身近な方が孤独死で発見され、特殊清掃を行わなければならない個人の方も参考になる記事となっています。
特殊清掃の費用を左右する主な要因
特殊清掃の費用は、さまざまな要因によって大きく変動します。特殊清掃業者のホームページを見ると、目安となる費用が掲載されていることがありますが、その多くは作業場所(亡くなった場所)、もしくは作業内容や物件の間取りごとの費用であることが多いものです。
しかし、見逃してはならない大きな要因はご遺体発見までの日数です。なぜなら、早期発見なら最小限の清掃で済みますが、遺体の腐敗が進んでいると大掛かりな作業が必要になるからです。
この章では、他社ではあまり語られない、発見までの日数がなぜ大きな要因となるのかを中心に、費用に影響するそれぞれの要因について解説していきます。
発見までの日数(体液や血液・ニオイの広がり具合)
特殊清掃の費用を大きく左右する要素に、ご遺体発見までの日数があります。特殊清掃業者のホームページやブログでも日数のことが触れられていることはありますが、そこまで深く触れられているものは多くありません。
故人が亡くなったまま誰にも気づかれないと、夏であれば3日もすれば腐敗が始まり、体液や血液、糞尿がご遺体から滲み出て異臭が漂いはじめます。5日もすると、ウジが湧き始め、1週間もすると数えきれないほどのハエがご遺体に群がります。当然、この間もご遺体からは体液や血液などが流れ出てその範囲が広がっていきます。
※冬は気温が低いため、腐敗の進行が夏よりもゆっくりになります
体液や血液などが単に広がるだけれであれば良いですが、柱や壁、当然床にも広がり染み込んでしまいます。ひどい場合は階下に漏れ出たり、玄関から外廊下に漏れ出たりすることもあります。
そうなると当然、清掃箇所が広範囲に広がります。人が亡くなった後の特殊清掃は、単に見た目を綺麗にするだけでは完了しません。
こうした体液や血液が漏れでた部屋はマスクなしでは入れないほどの強烈な死臭がしますが、この死臭は表面を綺麗にしただけでは決して落としきることができません。これが特殊清掃業者の知識やスキル、経験やノウハウが必要となる所以です。
「特殊清掃はニオイを落とすこと」といっても過言ではないほど、ニオイを取り除くことが重要となりますが、このニオイの元はご遺体から流れ出た体液や血液です。1滴でも残してしまうとニオイが落ちないことから、まずどこまで流れている(染み込んでいる)かを予測することが求められます。つまり見た目上はどこまで流れ出ているかわからず、今までの経験やこれまでのノウハウを総動員する必要があります。
染み込んでいると判断した時は、当然壁や床を剥いだりしながら対応することになります。このようにご遺体発見までの日数が長ければ長いほど作業工程が多くなりますし、何より作業の難易度(どこまで汚れが広がっているかの見極めやその処置)が格段に上がります。
ここまでご遺体発見まで長くかかったケースを前提に説明しましたが、もし亡くなって間もない場合は、仮に体液や血液が漏れ出ていても清掃の範囲は限定的で済み、費用も抑えられます。
このようにご遺体発見までの日数によって、作業範囲や作業の難易度が全く違うものとなりますので、費用が大きく変わることもご理解いただけるのではないかと思います。
発見場所と清掃の作業範囲
遺体がどこで発見されたかも、特殊清掃の費用に影響を与える大きな要因となります。
例えば浴室内で亡くなられた場合、ご遺体から滲み出た体液や血液が排水溝に流れ込み込みます。体液や血液には脂肪分などが含まれているため、冷えて固まると排水管内にこびりつき詰まりの原因になります。
浴室の場合は、こうした排水管の清掃までも行う必要があるため、費用が高くなる傾向があります。さらにユニットバスの交換が必要になると、さらに費用がかかることになります。
上記のことについては、浴室だけでなくトイレについても同様のことが言えます。
また、そのような水回りではなく寝室などの部屋の場合でも、亡くなった状況によっても費用は大きく変わります。
例えば、ベッドの上で亡くなられた場合と、床の上で亡くなられた場合では大きく作業範囲が異なります。ベッドの上の場合、マットレスが体液や血液を吸収してくれるので、比較的周囲への影響は少ないものですが、畳やクッションフロアなど床の上の場合は状況が全く異なります。
体液や血液が下へ下へと染み込み床下にまで到達することも少なくありません。信じられないかもしれないですが、下の階の天井にまで広がって下に住む住人の通報で孤独死が発覚する、といったケースもあるのです。
このような場合は畳やクッションフロア、さらには床材も剥ぐなど作業範囲が一気に広がります。場合によっては、壁にまで体液や血液が浸透し、壁紙や壁材も剥がすといったケースもあります。このような状況になると、作業範囲が広がるため費用もその分高くなります。
物件の間取りや部屋の広さ
物件の間取りやお部屋の広さも、特殊清掃の費用に影響する要素です。体液や血液の汚染の広がりが間取りによって変わることはありませんが、間取りが多い、部屋が広いとなれば、死臭がそれだけ広範囲に広がる可能性があり、消臭する作業の範囲が拡大するため、費用が高くなる傾向があります。
また孤独死が発生した現場では、ニオイだけでなく細菌やウィルスも発生するため、除菌作業も必須となります。この除菌作業も広範囲に及ぶとそれだけ手間がかかることになり費用が高くなります。さらにはハエやウジなどの害虫も同じです。広範囲にわたり害虫が発生すれば、それだけ作業範囲が広がることを意味します。
このように、間取りや部屋の広さも費用に影響を与える要素となります。
特殊清掃の費用、誰が負担する?
特殊清掃の費用の負担については、賃貸物件か持ち家かによって異なります。
賃貸物件の場合
賃貸物件の場合は、基本的に連帯保証人が負担することになります。連帯保証人がいない場合や支払い能力がない場合は、契約者の相続人が負担します。通常は残されたご遺族になります。
もし連帯保証人も相続人もいない場合、管理会社や不動産オーナー自身が負担することもあります。ただし、火災保険や孤独死対応の保険が適用されるケースもあるため、事前に確認することが重要です。
持ち家の場合
持ち家の場合は、基本的に相続人となるご遺族が負担します。
特殊清掃や原状回復の費用
特殊清掃は除菌、体液や血液の除去、害虫駆除、消臭作業など、原状回復は床材や壁紙の張り替え、クリーニングなどが含まれます。作業範囲によりますが、特殊清掃と原状回復を合わせると費用は一般的に数十万円程度かかることがほとんどです。
特に床下まで汚染が広がってしまっている場合、解体作業が必要になり、費用がさらに増加する可能性があります。
「特殊清掃の費用を左右する主な要因」でもお伝えした通り、さまざまな要因によって費用は変わってきますので、上記は一般的な目安として捉えるようにしてください。正確な見積もりを出してもらうためには、必ず特殊清掃業者に現地訪問してもらい、その上で見積もりしてもらうようにしましょう。
場合によっては、より大規模なリフォームが必要になることもありますが、これを機に設備を一新し、物件価値を向上させることも選択肢の一つです。
保険の適用範囲と注意点
実はあまり知られていないのですが、火災保険でも補償内容によって、孤独死が発生した際の特殊清掃や原状回復の費用が補償される場合があります。その他、孤独死対応の保険なども同じことが言えます。
ただし、すべての保険が適用されるわけではないため、契約内容をしっかり確認する必要があります。
また、保険の適用を受けるためには、警察の検案書や死亡診断書、特殊清掃業者からの見積書など、必要な書類を揃える必要があります。
特殊清掃の具体的作業事例と費用
作業事例1:神奈川県川崎市|協力不動産会社からの管理物件での孤独死の特殊清掃のご依頼(税込:330,000円)
こちらは不動産会社さまの管理物件で孤独死がありご依頼をいただいたケースです。ベッドの上で孤独死されたのですが、血痕がフローリングにまで染み込んでしまっていたため、フローリングの剥がしまで対応した事例です。
「神奈川県川崎市|協力不動産会社からの管理物件での孤独死の特殊清掃のご依頼」の作業事例の詳細はこちら
作業事例2:東京都足立区|協力会社からアパートでの孤独死の特殊清掃とフローリング剥がしのご依頼(税込:365,900円)
こちらは賃貸アパートでの特殊清掃のご依頼でした。残置はエアコンと照明くらいでほとんどありませんでしたが、体液や血液が床にまで染み込んでいましたので、フローリングを剥がしその下のコンクリートの研磨、コーティングまで行った事例です。
「東京都足立区|協力会社からアパートでの孤独死の特殊清掃とフローリング剥がしのご依頼」の作業事例の詳細はこちら
作業事例3:東京都江東区にて不動産会社さまより、孤独死が発生したお部屋の消臭・除菌の特殊清掃のご依頼(税込:290,000円)
こちらも不動産会社さまの管理物件で孤独死がありご依頼をいただいたケースです。当社の作業時には既に部屋の中は何も無い状態で、畳の撤去と消臭・除菌のみのご要望でした。幸いにも床下までの汚染はなかったため、床の剥がしはせずに済んだ事例です。
「東京都江東区にて不動産会社さまより、孤独死が発生したお部屋の消臭・除菌の特殊清掃のご依頼」の作業事例の詳細はこちら
孤独死が不動産経営に与える影響
孤独死は、不動産経営に様々な影響を与えます。物件のイメージ低下や空室期間の長期化などから、家賃収入の減少などが考えられます。また、孤独死の状況によっては、近隣住民からのクレームに発展する可能性もありますし、口コミで悪い噂が広がるといったことも考えられます。
これらの影響を最小限に抑えるためにも、適切に処置を行う必要があります。「特殊清掃の費用を左右する主な要因」でも触れましたが、特殊清掃には高度な知識やスキル、経験やノウハウが求められます。
特殊清掃ができると謳いながら、見た目を綺麗にするだけで、ニオイを落としきれない業者も世の中には沢山います。他社で特殊清掃を行ったがニオイが取れないので、何とかして欲しいと私たちに相談依頼が多々あることが何よりの証拠です。
特殊清掃は、単に見積もり費用が安いからといった安易な理由で決めないことが特に重要です。別記事になりますが、特殊清掃選びについては、別記事「失敗しない特殊清掃業者の選び方 | 業者選定前に知っておくべきこと」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
まとめ
孤独死が発生した物件の特殊清掃は、管理会社や不動産オーナーにとって避けて通れない問題です。この記事では費用を左右する主な要因や、費用負担について、さらには孤独死が不動産経営に与える影響まで、不動産経営者が知っておくべき情報を網羅的に解説しました。
この記事が特殊清掃に関する正しい知識の習得、また孤独死による影響を最小限に抑えることに役立てたなら嬉しく思います。
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