遺品整理は故人が遺したさまざまな品を整理し、必要なものと不要なものを仕分ける大切な作業です。そして遺品整理の際に大事なことは、事前に捨ててはいけないものを知っておくことが挙げられます。
現金を捨てる人はまずいませんし、価値があると分かりやすい貴金属も捨てる人はいないでしょう。しかし、遺品の中は間違って捨ててしまうと、後々大変なことになる重要な書類なども含まれています。また、場合によっては遺族間でトラブルになってしまう品ももあります。
そこでこの記事では、「遺品整理でよく出てくる重要なもの」に焦点を当て、具体的な品目ごとにその重要性や取り扱い方を解説しますので、参考にしていただければと思います。
遺品整理でよく出てくる重要なものとは?
遺品整理でよく出てくる重要なものとしては、下記のようなものが挙げられます。
- 遺言書
- 現金
- 有価証券や保険証券
- 通帳・キャッシュカード
- クレジットカード
- 印鑑
- 健康保険証
- 年金手帳
- 運転免許証
- 借用書やローン明細書
- 土地や建物の権利証
- 公共料金の請求書や領収書
- 携帯電話やパソコン
- 貴金属類
- 骨董品や美術品
- 鍵
- 写真アルバム
- 日記や手紙
こららを法的に重要なもの、手続きに必要なもの、その他のカテゴリに分け、各項目についてそれぞれなぜ重要か?項目によっては処理方法などもお伝えします。
法的な点で重要となる遺品
遺言書
遺言書は故人の意志が明示された文書で、相続手続きに欠かせない重要な書類です。遺産分割の具体的な指示が記されていることもあります。そのため、遺言書を見つけたら慎重に保管し、速やかに確認・手続きすることが必要です。
特に自筆証書遺言については注意が必要です。令和2年7月10日より自筆証書遺言書保管制度が開始され、この制度を利用した場合は家庭裁判所の検認は不要ですが、それ以前に書かれたもの、またこの制度を利用せず自宅などに保管されていた遺言書は検認が必要となりますので、勝手に開封しないようにしましょう。
現金
遺品整理中に見つかる現金は、故人の財産として相続対象になりますので、金額の大小にかかわらず、必ず保管し正確に記録しておくことが重要です。また、可能であれば、現金と記録したものを相続人全員で確認し、無用なトラブルを回避するようにしましょう。
有価証券や保険証券
株式や国債などの有価証券、および保険証券は、故人の資産です。これらの証券は相続手続きに必要となるため、間違って捨てることがないようにしましょう。そのためにも見つけたら速やかに他の遺品と分け、適切に保管することが重要です。
各種手続きにおいて重要となる遺品
通帳・キャッシュカード
故人の銀行口座に関連する通帳やキャッシュカードは、故人の金融資産を確認するなど相続手続きに必要となりますので慎重に扱うことが求められます。
また、口座に未払の公共料金や契約料金が引き落とされている場合があります。それを解約・精算するためも口座情報が必要となります。
クレジットカード
解約手続きが必要なため、カード情報は必ず確認しましょう。利用明細があれば、未払い金の有無もチェックするようにしましょう。
クレジットカードは、故人の名義のものであるため、使用を停止する手続きが必要です。また、未払い残高がある場合、相続財産として処理する必要があります。
印鑑
銀行印や実印など、重要な取引に使用される印鑑は、法的にも大きな影響を持つため適切な管理が重要です。
具体的には、銀行口座の解約・凍結解除などで使用します。故人の印鑑を見つけたら、紛失しないように大切に保管しておきましょう。
健康保険証
保険証は返却する必要があります。国民健康保険の場合は市区町村役場に、健康保険組合の場合は会社を通じて、または直接保険組合に返却します。
また、もし故人が世帯主の場合、残された家族の中から新たな世帯主を選び、新しい世帯主の名義で保険証を作り直す必要があることを忘れないようにしましょう。
年金手帳
年金手帳自体は返却の必要がありませんが、死亡後10日以内(国民年金は14日以内)に年金事務所へ「受給権者死亡届(報告書)」を提出する必要がありますので、できるだけ早めに連絡するようにしましょう。
また、年金を受給していた場合、残された遺族が遺族年金を受けられる可能性がありますので、年金事務所に確認することが重要です。
運転免許証
ネット検索すると「遺族が本人の代わりに返納するのが一般的」と案内するホームページも多いですが、警察庁のホームページでは返納の義務はないと明記されています。
ただし、不正利用されるリスクがあるため、適切に廃棄することが何より重要です。
借用書やローン明細書
故人の債務状況を把握し、相続手続きに必要となる非常に重要な書類です。もし、負債が大きく相続を放棄する場合は、期限がありますので注意してください。被相続人(亡くなった方)の死亡を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きをする必要があります。
土地や建物の権利証
土地や建物の権利証は、故人の不動産資産を確認するために必要です。相続手続きにおいて、不動産登記を相続人名義に変更する際に使用する重要な資料となります。
仮に売却を考えていたとしても、故人名義のまま売却することはできません。一旦相続人へ名義変更してから売却する必要があります。
公共料金の請求書や領収書
公共料金の請求書や領収書は、解約や名義変更、また故人の生活に関連する未払い料金の確認の際に必要となりますので、必要な手続きや確認が終わってから処分するようにしましょう。
携帯電話やパソコン
携帯電話やパソコンには、さまざまなサービスの情報などが保存されていることが多いものです。特に有料のサブスクリプションサービスは、自動的に料金が引き落とされるため、解約手続きを行わなければ不要なお金を支払い続けることになってしまいます。
また、故人の個人情報や重要なデータが含まれていることがありますので、必要に応じてデータの確認や移行を行いましょう。
ただし、近年デジタル遺品で問題になっているように、携帯電話やパソコン自体にパスワードが設定されていて、そもそも端末にログインできないといった問題もあります。
そのような場合は、専門業者に依頼すればログインパスワード解除などができる場合もありますので、相談してみるのも一つの選択肢です。
貴金属類
貴金属類は資産価値が高いため、見つけたら保管し、相続手続きの際に適切に評価を行うことが重要です。
価値があることから買い取ってお金に変えることも考えられますが、勝手な判断で買取業者などに買い取ってもらうと、後々、相続人や遺族間でトラブルに発展することがありますので、買い取ってもらう場合は、関係者全員の同意を得ることをおすすめします。
骨董品や美術品
自分たちでは価値がないと思っていても、鑑定してもらった結果、思わぬ価値があると評価されることもあり得ますので、軽く考えて処分するのでなく、自分たちで価値が分からないものはまとめておき、専門家に評価を依頼することをおすすめします。
骨董品や美術品も相続財産に含まれ、価値があると判断される場合は相続税や贈与税の対象となりますので注意が必要です。
その他重要な遺品
鍵
鍵は見つけたら紛失しないように保管し、不動産や金庫、重要な物品の管理など、どの鍵がどの用途なのか、確認するようにしましょう。
写真やアルバム
写真やアルバムは、故人の思い出を記録した大切な遺品です。故人との記憶を共有するためにも、大切に保管し、整理することをおすすめします。
今はデータ化して保存することもできますので、データ化して物としての写真・アルバムは処分するといったことも選択肢の一つです。
日記や手紙
故人の気持ちや人生を知る大切な遺品です。遺族の絆を深めるきっかけとなることもあります。どのようにするかは、遺族でしっかり話し合って決めるようにすることをおすすめします。
遺品整理前には捨ててはいけない重要なものリストを作っておく
今回お伝えしたものは、プロとして日々遺品整理を行なっている上で、よく出てくる、かつ私たちが重要だと思われる遺品についてお伝えしました。
私たちは日々このような遺品と接しているため瞬時に判断できますが、普段接することがない方にとってはそれぞれの重要性が瞬時に判断できない可能性があります。スムーズに遺品整理を進めるためにも、このようなリストをあらかじめ作成しておくことをおすすめします。
また、このリストに載っている品がでてきたら、捨ててはいけない重要なものとしての専用の段ボールを用意するなど、確実に他の遺品と分けるようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
遺品整理においてよく出てくるものを、法的な観点、各種手続きの観点、故人との思い出などその他と分けて解説してきました。事前にこのような情報をしっておくかどうかで、実際に遺品整理を行う際に迷うことは少なくなると思います。
この記事があなたを含めたご遺族にとって、スムーズな遺品整理の一助になれば嬉しいです。
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