孤独死が発生した物件で、最も重要なのは間違った知識で作業を進めないことです。孤独死が発生した現場の汚れ、特に死臭などの強いニオイは市販の薬剤では決して消すことができません。また、単なる清掃にとどまらず、健康リスクを防ぐ目的もあります。
「少しでも早く、少しでも安く原状回復を」と考えるのは当然のことだとは思いますが、 だからといって清掃前に残置物を処分したり、自分で清掃しようとすると、かえって費用や時間がかかり、後々大きな問題を引き起こすこともあります。
この記事では、孤独死が発生した物件における特殊清掃の重要性、物件の管理者が注意すべきこと、プロに任せることで得られる安心感について詳しく解説します。正しい情報を持ちリスクを最小限に抑え、安全に素早く原状回復を実現しましょう。
この記事の対象者は不動産管理会社の担当者や個人オーナー向けですが、親族が孤独死で見つかった遺族の方にとっても役に立つ内容となりますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
目次
孤独死現場における特殊清掃の重要性
孤独死が発生した現場、特に遺体発見までに時間がかかった現場は、血液や体液などが部屋全体に染み込み、強烈な死臭が漂うなど、通常の清掃では決して除去できない深刻な汚染が生じます。
このような状態を放置すると、近隣住民からのクレームが発生するだけでなく、物件の価値も大きく損なわれますので、早急な対応が必要です。
孤独死や自殺、殺人といった特殊な現場の清掃は、専門的な知識・スキル・経験が必要となります。また、専用の機材や薬剤を用意する必要があり、それらを駆使して汚染箇所を徹底的に除菌・洗浄・消毒します。
特殊清掃は再び居住できる状態を取り戻すことを目的とした、特別で重要な清掃です。このことを安易に捉えると、後々大きなトラブルが発生することもありますので、本当に注意が必要です。
孤独死が発生した部屋は何よりもまず特殊清掃。特殊清掃前に他のことは手をつけない
孤独死が発生した現場では、特殊清掃が何よりも先に行うべき重要な一歩目となります。「少しでも早く、少しでも安く原状回復したい」と考えるお気持ちは十分理解できますが、残置物の整理や撤去、荷物の運搬などを特殊清掃より先に進めると、最終的に清掃の時間と費用が増える可能性が一気に高まります。
なぜなら、特殊清掃前に作業を行うことで、手で触ったり足で踏んだりした汚染箇所を広げてしまう可能性があるからです。このようなトラブルを避けるためにも、何よりもまず先に特殊清掃を行う必要があります。
次の章では、なぜ特殊清掃を先に行う必要があるのか、その理由について詳しく説明します。
特殊清掃の前に残置物の整理や処分することはなぜ止めるべきか?
汚れの拡散リスク
前章でも少し触れましたが、特殊清掃が行われる前に、残置物を整理したり搬出するといった行為は、汚れの拡散リスクを大幅に高めることになります。
孤独死現場では、遺体から流れ出た血液や体液、腐敗物が床や家具、壁などに広がり、見た目では分からない部分にも汚染が及んでいるケースが多くあります。
このような状態で不用意に作業を行うと汚れが手や靴の底につき、その状態でさらに作業を進めることで、本来であれば清掃が必要ない箇所にまで汚染を自ら広げてしまうことになります。
もしかしたら、ひと部屋で済んでいたところが、隣の部屋やキッチン、玄関など、至る所に汚れが拡散してしまうといったことも実際に起こり得ますので注意が必要です。
ニオイ発生源の特定が難しくなる
ニオイの発生源(血液や体液、腐敗物)が特定しづらくなる点も、特殊清掃の前の残置物の整理・搬出を避けるべき理由の一つです。
ニオイの発生源となる血液や体液、腐敗物などは、家具や床材、壁など、さまざまな場所に染み込みます。不適切に残置物を動かしたり取り除いたりすると、汚れがさまざまな箇所に広がってしまい、それによりニオイの発生源の特定が非常に困難になります。
このような状況になると、特殊清掃の難易度は一気に上がり、時間をかけてニオイの発生源はどこか調査をする必要性がでてきいます。
臭いの原因を正確に把握することは、適切な消臭処理のために不可欠ですが、血液や体液、腐敗物はわずかでも残っていると、ニオイを完全に消すことはできません。表面上は綺麗になってもそれでニオイが無くなるわけでないことが、難易度を一気に押し上げる理由です。
時間と費用の増加
汚れの拡散し清掃箇所が増えること、またニオイ発生源の特定に多くの時間がかかることは、作業の長期化&複雑化を意味します。それに比例して作業費用も当然高くなります。
物件管理者から見ると、時間がかかることはその間家賃収入が途絶えることを意味します。絶対に避けたいことのはずなのに「時間を短くしよう」「安くしよう」として行動したことが却って時間がかかる、費用が高くなる可能性を高めるだけですので、特殊清掃前の残置物撤去はおやめください。
部屋だけでなく廊下やエレベーター、エントランスなどの共用部も汚す可能性がある
前章で「もしかしたら、ひと部屋で済んでいたところが、隣の部屋やキッチン、玄関など、至る所に汚れが拡散してしまうといったことも実際に起こり得ますので注意が必要です。」とお伝えしましたが、まだ居住スペースだけなら良いかもしれません。
集合住宅では最悪の場合、廊下やエレベーター、エントランスなど共有スペースまで汚れが拡散することがあります。
汚れを拡散させるのは、特殊清掃の重要性を理解していない人(業者)ですので、部屋の中だけでとどまることは考えづらく、そのまま廊下やエレベーターを使用し、共用部分にまで汚れを拡散すると考えた方が適切です。
このような状態になった場合は、作業範囲がさらに広がるため、当然時間や費用もさらく高くなりますが、それだけでなく居住者からのクレームも覚悟しておく必要があるでしょう。
孤独死が発生した物件はプロに任せることが必須です
孤独死が発生した物件の管理者がまずすべきことは、特殊清掃の専門業者に問い合わせをすることです。
孤独死現場の血液や体液、腐敗物といった汚れ、特に死臭は専門的な知識と技術、そしてしかるべき装備を持ち合わせた専門業者でなければ、まず適切に処理することはできないとお考えください。
プロに任せることで、細菌やウイルスの感染リスクを最小限に抑え、迅速かつ徹底的な清掃で原状回復させることができますので、安心感が違います。
まれに、費用を安くしようと特殊清掃を自分で処理を試みる方もいますが、汚れや臭いが広がり、却って清掃範囲が増加する可能性があるのは、特殊清掃前の残置物処理と同じです。結果として時間も費用も大幅に増えるという事例も業界としていくつも発生しています。
このようなことから、孤独死などが発生した特殊な現場の掃除については、勝手に判断したり、自分で清掃を行おうとせず、専門業者に依頼することを強くおすすめします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。孤独死現場における特殊清掃の重要性と、特に清掃前に残置物を整理・処分するリスクについて解説しました。
汚れの拡散、ニオイ発生源の特定の困難さ、時間と費用の増加、共用部の汚染リスクなど、自己判断がもたらすリスクをご理解いただけたのではないでしょうか。
孤独死が発生することは頻繁に起こるわけでなく、実際に管理物件で孤独死が発生した場合は慌ててしまうかもしれませんが、この記事が自分で判断せず専門家の力を借りて適切に処理を進めるキッカケになればと願っています。
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