「墓じまい」ならぬ「実家じまい」という言葉をご存知ですか?実家じまいは、家の清掃だけでなく思い出の品の整理や不動産の売却など、残された家族にとっては一つの節目となる大きなイベントです。
特に家じまいにおいて欠かせない遺品整理は、体力面だけでなく感情面の負担も大きく、またどこから手を付けてよいか分からないことが多いものです。
この記事では、親が亡くなった後の実家じまいを前提に、実家じまいを進めるためのステップや、遺品整理をスムーズに進める方法についてご紹介します。また、遺品整理を行う際のポイントや注意点についても触れ、実家じまいを効率よく行うためのヒントをお伝えします。
※親が存命中の家じまいの場合は、「遺品整理」を「生前整理」に置き換えて読み進めていただければと思います
目次
そもそも実家じまいとは?
「実家じまい」という言葉を初めて聞く方もいるかもしれませんので、まず「実家じまい」について説明しますが、実は「実家じまい」には明確な定義がある訳ではなく、通常は親が暮らしていた実家を整理し、適切に処分、または管理を行うことを指します。
実家じまいのきっかけとしては、親が亡くなったり、介護施設へ移り住んだりすることで実家が空き家となることが多くのきっかけとなっています。
近年、空き家問題がクローズアップされていますが、この空き家の状態を放置することでのリスクも大きく取り上げられています。
具体的には
- 維持費や固定資産税の負担が続く
- 家が老朽化して事故のリスクが高まる
- 近隣住民とのトラブルに発展する
のようなことがリスクとして挙げられます。
このようなリスクを回避するためにも、適切なタイミングで実家じまいを行う必要がありますが、実家じまいに欠かせない遺品整理において、親が大切にしていた品や思い出の品を残すべきか・処分すべきか、遺品の扱いに悩む人も少なくありません。
実家じまいは、単に家を処分するだけでなく、家族の思い出や財産を整理し、さらには家を売却したり、賃貸として活用するために管理するなど、残された家族にとって前に進むための重要な手続きと言えるでしょう。
家じまいとの違い
「実家じまい」に似た言葉に「家じまい」があります。こちらも明確な定義があるわけではありませんが、一般的には自分が住んでいた家を整理・処分することを指します。
「実家じまい」も「家じまい」も家を整理し処分、または管理することは同じですが、”どの家”を整理・処分するかで使う言葉も異なってきます。
実家じまいが必要な理由
家の老朽化による事故リスク
空き家となった実家は、時間の経過とともに老朽化が進みます。今、日本各地で空き家問題が注目されていますが、私たちが拠点とする所沢市周辺もエリアによっては多くの空き家が点在しています。
こうした空き家はさまざまな事故リスクを抱えるようになります。たとえば、屋根や外壁の劣化による落下物、シロアリや湿気による床の腐敗、配管の破損による水漏れなどが挙げられます。また、電気設備が古いまま放置されると、火災の原因となることもあります。
老朽化の進行は、分かりやすいものばかりではありません。見た目だけで判断しにくく、知らない間に徐々に危険が大きくなっている場合があるので注意が必要です。さらに、空き家に不法侵入されるリスクも高まり、防犯面でも問題が生じます。
家の老朽化による事故が発生すると、近隣住民や通行人に被害が及び、思わぬ損害賠償を求められるケースもあります。そのため、早めに実家じまいに着手し、危険を未然に防ぐことも実家じまいの目的の一つと私たちは考えています。
空き家の維持費・税金
空き家でも建物がある限り、固定資産税や都市計画税は毎年課税されるなど、意外なほど多くの維持費や税金が発生し負担が続きます。
また、2015年には「空き家対策特別措置法」が施行され、倒壊の危険がある「特定空き家」に指定されると、固定資産税の優遇措置が解除され、税負担が数倍に跳ね上がることもあります。このような状況を避けるには、実家じまいを早めに行い、空き家を整理・処分することが重要です。
近隣住民とのトラブル
空き家を放置していると、さまざまな形で近隣住民とのトラブルに発展する可能性があります。たとえば、庭木や雑草が隣家の敷地に侵入したり、老朽化した家屋の瓦や外壁が強風で飛ばされて損害を与えたりするなどです。
庭木や雑草は隣家でなく道路にはみ出すことも考えられます。道路に大きくはみ出すと交通の安全性を妨げたり、強風で飛ばされた瓦や外壁が通行人や車にぶつかる可能性もあります。
また、空き家が不法投棄や不審者の侵入を招くこともあり、その場合は防犯面の懸念が高まるなど、地域全体の安全性に影響を及ぼす可能性があることを考えておく必要があります。
さらに、外観が荒れた空き家は周囲の景観を損ね、近隣住民から苦情が寄せられるケースは少なくありません。
トラブルを未然に防ぎ、地域社会との信頼関係を維持するためにも、実家じまいは重要です。家の整理を通じて、地域住民が安心できる住環境を守ることが求められます。
この章では実家じまいが必要な理由について説明してきましたが、実家じまいを早めに行い、空き家を適切に整理・処分・管理することは、不要な出費を抑えるだけでなく、地域や近隣住民との良好な関係を保つために非常に重要なことがご理解いただけたのではないでしょうか。
ぜひ実家じまいを計画的に進め、トラブルや将来の金銭的負担を回避するようにしましょう。
実家じまいの具体的な流れ
ステップ1:実家の現状把握と計画作り
実家じまいをトラブルなく進めるためには、まず現状を正確に把握し、計画を立てることが重要です。
具体的には、家の状態や中に残された遺品を確認し、どのような作業が必要かリストアップします。素人では難しいかもしれないですが、屋根や壁、配管などの老朽化の程度を調べ、修繕が必要かどうかもチェックするとさらに良いでしょう。
また、遺品の量や種類をある程度でも把握すると、遺品整理を自分たちで行うか専門業者に依頼するか、判断がしやすくなるでしょう。
次に、実家をどうするか、今後の方向性を決めます。売却するのか、賃貸として活用するのか、それとも自分や家族が利用するのか目的に応じた計画を立てることが大切です。
専門家や業者に相談する必要がある場合は、早めに候補を探しておくとよいでしょう。計画をしっかり立てることで、作業の無駄を省き、実家じまいを効率的に進めることが可能になります。
計画したことをスムーズに実行に移すため、この段階で家族間での意見を共有し、役割分担を明確にすることも重要なポイントとなります。
ステップ2:遺品整理の進め方
実家じまいのプロセスの中で、遺品整理は特に欠かせない重要なステップです。遺品整理の方法は、自分たちで行う、遺品整理業者に任せる、の大きく2つに分かれます。自分たちで行うにしろ、遺品整理業者に任せするにしろ、計画的に進めることが重要です。
自分たちで行う場合は、それなりの日数が必要になることから、いつまでにどこまで整理するか?といったスケジュールを立てることが重要です。
一方、遺品整理業者に依頼する場合は、作業自体は1〜3日ほどで完了しますが、遺品整理業者を調べる、調べてピックアップした中から業者を選定する、見積もりを取る、日程を調整するなど、自分たちで行う場合とは違うステップが多数ありますので、抜け漏れなく準備を進めることが求められます。
ステップ3:家の売却や活用の検討
遺品整理が完了したら、実家を売却する、もしくは賃貸として活用するなど、あらかじめ決めたいた計画を実行に移すステップです。
まず、家の状態や立地条件、周辺環境を考慮し、不動産としてどのような価値があるかを把握するために不動産業者に査定を依頼することがスタートになります。売却価格の目安を確認すると、より具体的な方向性が見えてきます。
売却する場合、買い手がつきやすいように最低限の修繕やクリーニングを行うべきかどうか、不動産業者と相談することをおすすめします。
一方で、賃貸として活用する選択肢もあります。家を貸し出すことで定期的な収入が得られますが、管理や修繕の負担が発生するため、自分に合った活用方法を選ぶことが大切です。
また、売却や活用が難しい場合は、更地にして土地として売却する方法や、地元自治体の空き家対策制度を利用する選択肢もあります。
どの方法を選ぶにしても、家族間で意見を共有し、専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めることで、トラブルなく後悔のない実家じまいが実現できる可能性が高まります。
実家じまいには欠かせない遺品整理の2つの方法
自分たちで行う
遺品整理を自分たちで行う場合は、時間と手間がかかることを認識しておくことが重要です。
まずは、家の中を部屋ごとに区切り、少しずつ作業を進めると効率的です。遺品を「残すもの」「譲るもの」「処分するもの」に分類し、それぞれを適切に整理していきます。この際、家族で協力しながら進めると、思い出を共有する良い機会になるだけでなく、作業もスムーズに進みます。
遺品整理を自分たちで行う場合は、家族の手で一つひとつの品を確認しながら進めることができます。親が大切にしていた品物や思い出のある道具に触れることで、感謝の気持ちを再確認し、両親への最後のお別れをする良い機会にもなります。また、時間はかかりますが整理のペースを自分たちで調整できる点もメリットと言えます。
遺品整理業者に依頼する
遺品整理業者に任せる場合は、次のことを判断基準にすると良いでしょう。
- 遺品の品数が多く時間がいくらあっても足りそうにない
- 体力的にも精神的にも作業が負担に感じられる
- 実家が遠方にある
このような場合、遺品整理費用はかかりますが、プロのサポートを受けることで時間と労力を節約できます。実家の広さや遺品の量にもよりますが、大抵は1〜3日で家の中が綺麗に整理されます。
実家じまいにおける遺品整理の注意点
写真が懐かしくて手が止まる
アルバムなどが出てきた際には、要注意です。昔の記憶がよみがえり、作業の手が止まって時間だけが過ぎていく…なんてことが往々にして起こるからです。また、写真や手紙、思い出の品は、感傷的になりやすいことも頭に入れておく必要があります。
一方で写真を見ながら思い出を語り合うことも、家族との絆を深める良い機会ですので、休憩時間や遺品整理が終わった後にゆっくり昔を振り返りながら語り合うのもおすすめです。
思い出の品が捨てられないなど精神的に負荷がかかる
故人が大切にしていた品や、家族として思い出の品を「捨てるべきか」「残すべきか」と悩む場面も多々出てくるでしょう。これらは人によって、感情面において大きな負担を感じることがあります。
特に、思い出が詰まった品を処分することには強い抵抗感が伴い、その結果、作業が先延ばしになることも少なくありません。
こうした感情的な負担を軽減するためには、無理に一度ですべてを決めず、時間をかけて整理することが大切です。迷った品については、まず一時的に保管し、後で改めて考える余裕を持つことができた時に決めることをおすすめします。
遺品整理業者とのトラブル
遺品整理を業者に依頼する際は、トラブルを避けるためにしっかりと時間を取り、事前調査を行うことが重要なポイントです。時間に余裕がなく、あまり調べず業者を選んでしまった場合、料金トラブルや作業内容の不満、遺品の取り扱いに関するトラブルなどが発生する可能性が高まります。
例えば、見積もり時に提示された料金が最終的に大幅に変わったり、作業内容が不十分であったりすることがあります。また、遺品を不法投棄したり、貴重品を盗むといった悪質業者も世の中には紛れているため、業者選択は慎重に行うことが大切です。
トラブルを避けるためには、複数の業者のホームページを確認し、料金やサービス内容を比較すること、また口コミや評判を確認した上で最終的に選定すること良いでしょう。さらには、実際に問い合わせした際の対応についても、確認しておくことが重要なポイントです。
契約の際には契約内容はもちろんのこと、作業範囲についてしっかり確認し、疑問点があれば事前に解消することをおすすめします。
別記事になりますが、トラブルを回避するために参考になる記事を2つ紹介しますので、ぜひ合わせてご覧ください。
失敗しない遺品整理業者の選び方 | 遺品整理10年以上のプロが悪質業者に引っかからないポイントを解説
遺品整理業者との間に起きやすいトラブルとは | トラブルの事例や避けるポイントなどお伝えします
不動産売却にも対応できる遺品整理業者に依頼するのも1つ
遺品整理業者の中には、不動産の売却にも対応している業者があります。実家じまいの際、遺品整理と並行して家の売却を進めることができるため、より効率的に作業を進められます。
特に、遺品整理業者が不動産の査定や売却手続きまでサポートしてくれる場合、専門的な知識を持つスタッフが家の状態や市場の動向を考慮し、適切な価格で売却できる可能性が高まります。
また、遺品整理と不動産売却を一括で依頼できるため、複数の業者と調整する手間を省け、時間や手間を大幅に削減できることはメリットです。
ただし、業者を選ぶ際には、不動産売却のサポート内容や料金について事前に確認し、納得できる業者を選ぶことが大切です。信頼できる業者に依頼することで、スムーズな実家じまいと不動産売却が実現できます。
私たち遺品整理ロードは、お客さまのご要望に沿った内容で迅速に対応できる不動産業者や地元で定評のある家屋解体業者、弁護士や司法書士といった士業の方々とも連携しておりますので、不動産売却のサポートも対応可能です。気になることがあればお気軽にご相談ください。
関連記事「実家を売却する前に知っておきたい遺品整理と不動産売却を賢く進める方法」もご用意していますので、気になるようでしたらこちらもご覧ください。
まとめ
実家じまいは、家の整理や遺品整理、不動産の売却などが含まれ、残された家族にとっては大きな節目となるものです。
空き家をそのままにしておくリスクもご理解いただけたと思います。目的があって実家をそのままにしている訳ではなく、「なんとなくそのまま放置してしまっている」のであれば、できるだけ早く動き出すことが重要です。
あなたの実家じまいがトラブルなくスムーズに進むよう、ぜひこの記事を参考にしていただければと思います。
お問い合わせはこちら
お問い合わせ後に無理な売り込みをすることはありませんので、安心してご依頼ください。
また、どんなささいなことでも気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。