ここ数年、台風や豪雨などによる大規模な水害が相次いでいます。
水害とは、水によっておこされる台風や暴風雨、豪雨など水によっておこされる洪水、高潮、土砂崩れなどの災害のことを指します。雨などによって川から水があふれる「外水氾濫」も町や農地に降った雨がそのままたまってあふれる「内水氾濫」も水害と呼びます。ただ、海水による水害の場合は、一般的に高潮災害、津波災害といった呼び方をされます。
洪水が起きると、周辺世帯の1階が水没してしまった、孤立した、土砂崩れで家屋が押しつぶされた、車が流されたなど、甚大な被害が及ぶ可能性があります。住居の被害として水が浸入することや土砂が流れ込み、床下浸水、床上浸水、全壊、半壊などの被害が想定されます。
日本は降水量が多く、私たちは水災と隣り合わせの中で暮らしていると言えます。もし、水害の被災者になってしまったら、どのような対応をしなければならないのでしょうか?
今回は、水害の被害にあった場合に、必要とされる復旧作業についてです。
目次
被災をしたらまず記録を残す
水害被害にあったら、すぐ家の被害状況を記録しておきましょう。市町村から公的支援に必要な「罹災証明書」の取得時や、民間の保険金の請求時に必要となります。
「罹災証明書」とは住家の被害程度を証明するもので、国の災害補助金の申請や保険の申請に必要な書類です。区市町村に申請します。自治体の担当者が現地を訪れて、被害状況を確認して全壊、半壊などの被害認定の調査を受けます。写真は役所に提出することになりますが、スマートフォンでの撮影でも問題ないようです。写真を撮るときのポイントは以下の3点です。
1.建物の全景を撮る
- なるべく4面を撮影する
2.浸水した深さを撮る
- メジャーを使って水が浸かった深さを測定して撮影
- 測定場所がわかるように遠景を撮影
- メジャーの目盛りがわかるように近景も撮影
3.被害を受けた箇所個別に撮る
- 被害箇所ごとに遠景と近景の2枚セットで撮影(被害箇所がわかるように指を差して撮る)
支援を受けるための手続きを行う
まず、支援を受けるために必要な罹災証明書を自治体に申請し、交付を受けましょう。災害の程度にもよりますが、被災した人が受けられる支援制度にはいくつかあります。
被災者生活再建支援制度
全壊・解体・長期避難の世帯を対象に最大300万円、大規模半壊の場合でも最大250万円の支援金(いずれも世帯人数が一人の場合は4分の3)を受けられる。
災害救助法
災害により住宅が半壊し、自ら修理する資力のない世帯を対象に、日常生活に必要な最小限度の部分を応急的に修理するもの。修理限度額は1世帯当たり57.4万円(平成29年度基準)、市町村が業者に委託して実施。
住宅金融支援機構
災害により滅失・損傷した家屋の復旧に対し、低利な資金を供給。住宅を建設する場合の融資限度額(基本融資額)1,650万円等、住宅再建方法により融資限度額、返済期間等が異なる。
民間の保険や共済に加入している場合は連絡します。また場合によっては、水道光熱費や税金などは支払いの先延ばしや、減額、免除などの制度を受けられます。各種制度等を役所やホームページなどで確認しましょう。
水害現場の片付けと清掃
水害現場では、家の中に水だけでなく汚泥やごみが流れ込んでしまい、大変不衛生な状態となっています。迅速かつ的確に排水や消毒などの作業を行わなければ、健康に影響が及ぶ可能性があるほか、カビやシロアリの発生や漏電リスクなどが高まるおそれがあります。なるべく早く掃除や片付けを行いましょう。
水害現場の清掃の前に、まず、ガス・水道・電気が使える状態かどうかを確認します。ガス漏れや電線から火花が散っているなど、危険な状況が確認できたら近づかないようにして消防署やガス会社、電気会社に連絡して復旧を待ちましょう。
水害現場の清掃・片付けの大まかの流れは以下です。
1.水がひくまで待つ
床下浸水であれば、一般的に排水、泥出し、乾燥で十分です。
2.家財の搬出・移動
水が引いた後、水に浸ってしまった物を運び出し、不要な物を片付けます。汚れた家具や床・壁などは水で洗い流す、または雑巾で水拭きして下さい。日に干せるものは日光により乾燥させるとなお良しです。浸水した家具を戻す際は、壁との間を開け、乾燥を促進させます。
水害によって壊れたものや、動作しなくなった廃棄物は「水害ごみ(災害ごみ)」となり、通常の廃棄物とは使える袋の種類や捨てる場所などが異なることがあるため、自治体ごとの対応をチェックしましょう。
3.建材の水拭き、撤去
水で濡れた床材や壁材などを水拭きしていきます。不要であれば解体して撤去・廃棄していきます。この時、床下に水が残っていないかチェックしておきましょう。床下に水が残っていると、悪臭やカビの原因となり、家が不衛生な状態となってしまいます。
4.排水・泥の撤去、洗浄
水中ポンプやバケツなどを使って、汚泥や汚水等を取り除いていきます。汚泥や汚物、ガラスの破片などの危険物が混入しており、ケガや感染症のリスクがあるため、衛生管理に十分注意してください。排水処理が完了したら、汚れを流すために水道水で洗い流し、雑巾や新聞で水気を除去します。
5.乾燥
家の隅々までしっかりと乾燥させましょう。カビの発生や匂いの原因にもなるため、洗浄後、1~2ヶ月は扇風機などを使って乾燥させると良いです。
6.消毒・除菌
水害による床下浸水は、雨水だけでなく生活排水や下水などが流れ込んでいるので雑菌が繁殖し、感染症の原因にもなるため、予防のために消毒が重要となります。
7.消臭・脱臭
消臭や脱臭の作業は個人の力だけでは難しいため、必要に応じて業者に依頼しましょう。消臭効果の高いオゾン脱臭機や薬剤を使用して、汚水の臭いを完全に取り除いていきます。
いかがでしたでしょうか?
日本では例年のように大規模水害が起きています。事前の対策をしていても、その脅威にさらされてしまうことも。
今回は水害の復旧作業について見てきました。個人でもできる範囲の作業をご紹介しましたが、自分でやろうとすると、時間も労力もかなりかかりとても大変です。専門の知識・技術、用具が必要であったり、怪我や感染症などのリスクもあり、無理をせずに業者に依頼すると安心です。水害現場をそのままにすると様々な悪影響が出る恐れがあるため、即時に対応してくれる業者にお願いすると良いでしょう。
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